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掌篇★ガチャポン

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【6】.『アトムの頃』

「お豆腐二丁買っといで」

 テレビ漫画を観ていたら、母に命じられた。二つ上の兄は知らん顔。

「ほら、お父さんが帰ってきちゃうから早く」

 せかされて渋々家を出た。
 隣家からは、ライスカレーの香ばしい匂いがただよってくる。

「いつも偉いね、オマケだよ」

 豆腐屋のオヤジに豆腐と一緒に油紙の包みを渡されて礼も言わずに受け取った。
 夕焼けが怖いほど赤くて逃げるように駆けだしたら砂利道でつまづき、買い物の包みを下敷きに転んだ。
 ベソを書きながら裏口の木戸をくぐると、風呂焚きをしていた祖父が優しく頭を撫でてくれた。

「日曜日に家族全員で万博に行くぞ!」

 父親の爆弾発言に夕餉の席は騒然となり、味噌汁のお椀から、お揚げが飛び出した。
                   (『遊歩人』掲載) 
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