掌篇★ガチャポン

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【5】.『夏はよる』

 真夜中、煙草を買いに家を出た。
 
 児童公園の中央に櫓が組んであり、橙色の提灯が輝いていた。
 返す手、ひく足、着物姿の人々が音頭にあわせて白い花のように揺れている。

「さあ」

 少女に手をひかれ、輪の中にひきこまれた。
 気持ち良く腕が伸びる、すんなりと脚が動く、体が勝手に踊り出す。
 音頭の拍子はどんどん早く、踊りはますます激しく。

「よいよいよい、えっさっさっ」

 ぐるぐると回る巨大な意識の一部に溶け込む快感、老婆も老人も少年も中年男も私と区別がつかない。
 疲れを知らず体は軽く、ふわふわと宙に浮く心地だ。そして、回りながら、満月に吸い寄せられていくようである。

 見下ろすと、公園のベンチに私の抜け殻が座っていた。
                     (『遊歩人』掲載/『きょとん!』収録)
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