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掌篇★ガチャポン

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【2】. 『面影の女』

 夜半、頭を洗っていると背中にペタリときた。ぬるま湯の入ったゴム風船に似た乳房の感触。熱い湯を浴びると泡と共に消えた。湯殿の曇った鏡には俺しか映っていない。

 また、あの女だ。別れて一年も経つのに、気配がつきまとって離れない。十も年上の女で、蛇革の財布を使い、長い黒髪に一房の白髪があった。
 捨てて間もなく、妙なことが起こり始めた。
 夜半に枕元で足音がしたり、頬を撫でられたり、覆い被さる重みを感じたこともある。その度に、静脈の透けた足首や骨張った指先、たるんだ下腹が思い出された。
 ただ、いつの間にか顔を忘れている。

 手拭いを頭に湯船に浸かったら、二の腕に痛みを感じた。見れば噛み跡が浮いている。
 薄い唇を思い出した。  (『遊歩人』掲載/『きょとん!』収録)
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