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掌篇★ガチャポン

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36.『ゆきねこ』

 やけに冷えると思ったら扉の向こうが雪国になっていた。
 空は暗く、薄墨の彼方から羽根に似た雪がきりもなく落ちてくる。

 玄関先の牛乳瓶に積もった雪がフルフルと震えて、目をこらすと真っ白な仔猫だった。小さな口を開け必死で鳴いているが声が聞こえない。

 皿に牛乳を注ぐと待ちかねたようにポコポコと雪原が持ち上がり、無数の白猫が現れてたちまちのうちに平らげた。
 猫たちは赤い口腔で声無き訴えを繰り返す、雪が音を全て飲み込んでサイレント映画の一場面のようなモノクロームの世界だ。

 気がつくと僕は猫たちに囲まれていた。
 灰銀の瞳が僕を見つめ、薄氷の爪が皮膚を切り裂き、鋭い氷柱の牙が喉に食い込んだ。
 僕の叫びと血潮も柔らかな雪に吸い込まれた。
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