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五百字小説『言城』  

 堅牢にして荘厳な煉瓦の城を、タロウカードを積み上げたカラフルなカード・シャトーを、決して割れない青く透き通った金剛石の光輝く城をあの絶海の孤島に建てよう。
 男でもなく、女でもなく、言葉だけが住まう城は中までみっしり石造りでも構わない。
 迷宮庭園の生け垣をあてどなく逍遙する盲目の老婆の眼差し、暗く湿った地下道を疾く駆ける薄汚れた溝鼠達の冷たい足裏、長い長い螺旋階段の鋼鉄製の手摺を優美な孤を描き滑り落りる少年の生白い踝、そんな風に石と石の狭い間隙を黴臭い空気を震わせて言霊が自在に響きめぐるだろう。
 意味という枷を外された言の葉は落下する羽毛の速度で軽やかに宙を舞い、風にたゆたい、枯れ葉と共に積み重なり、蕭々と降る雨に朽ちてゆく。黒い土の上に幾重にも鮮やかな色彩を残して。その様子はまるで、純白のシーツに零した漆黒のインクの染みや家畜の肌に捺されたひきつれた醜い焼き印だ。そして、城壁や床、天井に祈りや怨裟、愛撫や勲章に似た無数の傷を刻むだろう。

 言葉は奥津城で眠りながら、柩が開かれる日を、いつか解き放たれる時を待っている。
 四角い紙の塊は、読まれて初めて反魂する。

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 五百字小説は伸縮怪談が一作、『超短編の世界』投稿作が二作。
 これは四作目に書いた習作で、実は対になる五作目もあります。
 今、超短編では自由題の募集はしていないようなので、ブログに貼ってみます。

 物語よりも言葉を意識して書いたのですが、字面が黒い!(笑)
「五百字入ります」と書かれた容器に、ギュウギュウに文字を詰めてからパカッと伏せて取り出したみたい。水に沈みそうに重いぞ。

 うーん、超短編は難しいです。
 三百字小説はたぶん百編は書いているんですが、勝手と手触りが違うんですよ。

 今月は『言葉と遊ぼう月間』(?)なので、ロルカの詩集を読んで癒されるとします。
 嗚呼、キレエなもんが書きたい。
(……何かあったらしい)
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