掌篇★ガチャポン

携帯掌篇のブログです。無断転載厳禁!

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

五百字小説『ノブレス・オブリージュ』

 青い空に高らかに、天使の角笛(ラッパ)が鳴り響く。
 轟音をたてて、巨大な城壁が崩れ落ちた。
 レジスタンスの放った焔は舌鼓を打ち、旺盛な食欲で豪奢な調度を味わい尽くす。
 最早、城内は石焼き窯と化した。
 天鶩絨とレースと忠実な臣下に幾重にもくるまれ、こんがり黒焦げになった若き君主。その王家の最期の手首は持ち主に見切りをつけ、蜥蜴の尻尾切りよろしく逃げだした。
 五指を滑らかに這わせ素早く地を駆ける姿は気の違った二十日鼠かタランチュラか、はたまた人間のカリカチュアそのものだった。
「決して赦すまいぞ、忘れまいぞ、濯ごうぞ、この恥辱!」ただ、それだけを念じて。
 それは業火の金の冠を戴き、野に逃れた。
 固い大地に爪を立て、指先を血に染め、土を掻き、弄り、闇雲に指を伸ばし、深く潜り、ついには広大な原野一帯を征服し、腕をしならせて、わさわさと群れ広がった。
 地に堕ち泥にまみれてなお、威風堂々凛として富貴に輝くこと、まこと白百合の如し。
 愚かな村娘を幻惑し誘い込み、手練手管の限りを尽くして手籠にし、見事懐妊させた。
 これが、徹底した恐怖政治で国土統一を果たした“白い手の残虐王”の出自である。

(2008年10月 アトリエ超短編投稿作)

■■■■■■■■■■

 先日の超短編イベントに投稿した『手首』テーマのもう一作の掌編です。

 題名が既にヤな感じで間違っているのは確信犯です。(笑)
 過剰に言葉を使いたかったのですが、語彙のバリエーションがイマイチ。実は酔っ払って書いたのですが、わりと気に入っています。

 先日、尊敬する方から拙作に
『下町バロック』
との称号を賜りました。

 成る程、目指す方向性がぼんやりと見えた気がします。
 人間、氏素性は隠せないものです。私、生まれも育ちも現住所も東京下町です。

 怪談に限らず、不思議で懐かしくて肩が凝らず、小綺麗で気軽に愉しめる作品を書きたいと思います。

 これからも、何卒よしなに。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://zigzaggar.blog63.fc2.com/tb.php/227-975723f5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。