掌篇★ガチャポン

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【1】.『宵宮』

 ぶあああ!
 
 風呂上がりに扇風機の前で遊んでいたら、ふざけてないで身体を拭きなさいと叱られた。
 ぱたぱたぱたと叩かれた天花粉がむせるよう。
 
 朝顔柄の浴衣に赤い絞りの帯を締められ、下駄履きで前のめりに歩く。急ぐと危ないよ、手を離さないで。だって早くおいでとお囃子が呼んでる。

 お稲荷さんの境内は提灯が数珠繋ぎで露店には子供らが鈴生り。焼きとうきびや杏飴、射的に輪投げ、水風船釣り、四角い水槽の中で沢山の金魚が泳いでる。

 父の指先を赤い金魚がひらりとかわす。翻る尾びれがあたしの背中の帯にそっくりと思った途端、捕まった。

 ねえ、お父さん。家に着いたらここから出してね。ビニールごしに見上げる父の背に大きな金魚が負ぶさっている。

  (『遊歩人』掲載/『三百字小説』収録)

________________________________

 上は、オンデマンド雑誌『遊歩人』で三百字小説の一般募集が始まって、すぐに投稿した作品です。
(三百字小説とは読んで字の如く、ブランクを含まない記号と文字数が三百字以内の掌編小説の事)

「翻る尾びれ」以前の記述は、そのまま子供時代の思い出の描写で、深く考えずに書いたものを幸運にも掲載して頂きました。
 これが三百字小説にハマったきっかけです。書いてみるとパズルのようで面白いんですよ、皆様もお試しあれ。

♪ 赤いべべ着た可愛い金魚 おめめをさませば御馳走するぞ
  赤い金魚はあぶくをひとつ 昼寝うとうと夢からさめた (作詞:鹿島 鳴秋)

 金魚はちっちゃくて、色鮮やかで、安いゼリー菓子みたいにテラテラしてて、妙に生っぽくて、よくみるとグロテスクで、私の中では可愛さと不気味さの境界線上にいる愛しくて少し怖い生き物です。

 折々に携帯で書いた三百字小説を掲載します、どうぞ御高覧くださいませ。
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