掌篇★ガチャポン

携帯掌篇のブログです。無断転載厳禁!

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

五百字小説『卯憑き』

 僕は兎とにらみあっていた。

 喫茶店のテーブルにつっぷして泣きじゃくる彼女の背中に真っ白でふかふかで真ん丸い眼をした兎が前肢でへばりついている。
 呆然とする僕の前で、ゴメンナサイ、ミンナワタシガワルイノと幾度も繰り返す彼女。
「じゃあ、別れよう」と言うとワアアアアン、ヤッパリスキジャナカッタノネ!
 別れ話を切り出したのは君じゃないか?
「僕はぜんぜん平気だよ」の「よ」のあたりで兎がぴょんっと僕の背中に跳び移った。
 涙で化粧を崩しながら、去って行く彼女の足取りは軽かった。

 これくらい大丈夫、そう僕が言う度に背中は少しづつ重くなった。
 そんなに好きじゃなかった、と呟くと兎はズンと重さを増した。
 本当は不器用な自分の手足と同じくらい自然で必要だった。

 僕が待ち合わせに遅れる度、約束を破る度、彼女の話に上の空で相づちを打つ度、微笑む彼女の背中の兎が赤い瞳で僕を睨みつけて人差し指みたいに耳を揺らして警告してた。
 ヘイキジャナイ、ダイジョウブジャナイヨ
 彼女の強ばった笑顔を見て見ぬふりしてた。

 待ち受け画像の彼女に「この、ウつき!」と呟いたら、背中の兎がきゅううんと啼いた。

■■■■■■■■■

 人事異動後の職場環境に馴れず、壊れ気味の日記が続いております。(苦笑)

 ドン引きしている方もいらっしゃると思いますが御容赦ください。なんせ頭と根性の弱い人間なんで。

 さて、六作目に書いた五百字小説です。

 とても可愛い兎画像を頂戴したので、そのイメージで書こうと思ったら全然別物になりました。
 書きながら、初参りに神田明神に詣でて『お願い兎』の御守りを戴いてこようと思いました。因幡の白兎を象った御守りでとても可愛いんですよ。

 まあ、たまにはちょいポエムな感じで。(笑)
スポンサーサイト

食べたい程に愛らしい【1】

20090115041827
20090115041825
20090115041822


■ひよ子哀歌

 巣の中で胞衣(えな)に包まれたまま、寄り添ってふるふると震える雛鳥達。六羽いた兄弟達はいつの間にか一羽減り、二羽減り、残りは二羽限り。
 嗚呼、なんたる、な?んたる悲劇!
「やめて、ばかっ、近寄らないでピヨ。いやあ?、オカアサン!」

 んがぐぐ、頭から尻から、美味しく戴きました。合掌。
 職場で『銘菓 ひよ子』を一箱戴きました。アレ、いつの間にか東京で作ってる?

■カレル・チャペック

 のクッキーを乃木ばにらさん(てのひら作家、穏やか美人!)に頂戴しました。
 吉祥寺に本店のある紅茶屋さんです。店名は作家のカレル・チャペックに由来しています。ロボットの語源になった作品を書いた人で、私は『ダーシェンカ』と『園芸家十二ヶ月』が好きです。

 クッキーはカップに目鼻の大変可愛い形です。看取るにあたり、折角なので友人にお土産で戴いたベトナム珈琲を煎れました。ウェッジウッドのティーセットとテーブルクロスも戴きものです。ビバ、女友達♪

 て、これじゃまるで戴きもので生活してるみたいなんで、生花代わりに私物を添えてみます。気違い兎と火星人のフィギュアと自作レース編みとミントンのお皿とホワイトブリム。なぜホワイトブリムがウチにあるかは訊かないでください、世の中には知らない方が幸せなこともたくさんあります。ちなみにドレス(サイズM)もあります。御希望の方には無料貸与致します。(笑)

 さて、クッキーはサクサクとして香ばしく美味しゅうございました。この歯に、断末魔の無駄な抵抗を試みるあたりがいぢらしいじゃありませんか! 私の嗜虐趣味が甘?く満たされました。やはり、Sかも知れません。

 甘いものと可愛いもの、二つながら私の大好物です。
 これからも、可愛いおやつを研究していきたいと思います。
『陽炎座』を見ながらおやつを戴いて、至福です。

五百字小説『言城』  

 堅牢にして荘厳な煉瓦の城を、タロウカードを積み上げたカラフルなカード・シャトーを、決して割れない青く透き通った金剛石の光輝く城をあの絶海の孤島に建てよう。
 男でもなく、女でもなく、言葉だけが住まう城は中までみっしり石造りでも構わない。
 迷宮庭園の生け垣をあてどなく逍遙する盲目の老婆の眼差し、暗く湿った地下道を疾く駆ける薄汚れた溝鼠達の冷たい足裏、長い長い螺旋階段の鋼鉄製の手摺を優美な孤を描き滑り落りる少年の生白い踝、そんな風に石と石の狭い間隙を黴臭い空気を震わせて言霊が自在に響きめぐるだろう。
 意味という枷を外された言の葉は落下する羽毛の速度で軽やかに宙を舞い、風にたゆたい、枯れ葉と共に積み重なり、蕭々と降る雨に朽ちてゆく。黒い土の上に幾重にも鮮やかな色彩を残して。その様子はまるで、純白のシーツに零した漆黒のインクの染みや家畜の肌に捺されたひきつれた醜い焼き印だ。そして、城壁や床、天井に祈りや怨裟、愛撫や勲章に似た無数の傷を刻むだろう。

 言葉は奥津城で眠りながら、柩が開かれる日を、いつか解き放たれる時を待っている。
 四角い紙の塊は、読まれて初めて反魂する。

■■■■■■■■■■

 五百字小説は伸縮怪談が一作、『超短編の世界』投稿作が二作。
 これは四作目に書いた習作で、実は対になる五作目もあります。
 今、超短編では自由題の募集はしていないようなので、ブログに貼ってみます。

 物語よりも言葉を意識して書いたのですが、字面が黒い!(笑)
「五百字入ります」と書かれた容器に、ギュウギュウに文字を詰めてからパカッと伏せて取り出したみたい。水に沈みそうに重いぞ。

 うーん、超短編は難しいです。
 三百字小説はたぶん百編は書いているんですが、勝手と手触りが違うんですよ。

 今月は『言葉と遊ぼう月間』(?)なので、ロルカの詩集を読んで癒されるとします。
 嗚呼、キレエなもんが書きたい。
(……何かあったらしい)

五百字小説『ノブレス・オブリージュ』

 青い空に高らかに、天使の角笛(ラッパ)が鳴り響く。
 轟音をたてて、巨大な城壁が崩れ落ちた。
 レジスタンスの放った焔は舌鼓を打ち、旺盛な食欲で豪奢な調度を味わい尽くす。
 最早、城内は石焼き窯と化した。
 天鶩絨とレースと忠実な臣下に幾重にもくるまれ、こんがり黒焦げになった若き君主。その王家の最期の手首は持ち主に見切りをつけ、蜥蜴の尻尾切りよろしく逃げだした。
 五指を滑らかに這わせ素早く地を駆ける姿は気の違った二十日鼠かタランチュラか、はたまた人間のカリカチュアそのものだった。
「決して赦すまいぞ、忘れまいぞ、濯ごうぞ、この恥辱!」ただ、それだけを念じて。
 それは業火の金の冠を戴き、野に逃れた。
 固い大地に爪を立て、指先を血に染め、土を掻き、弄り、闇雲に指を伸ばし、深く潜り、ついには広大な原野一帯を征服し、腕をしならせて、わさわさと群れ広がった。
 地に堕ち泥にまみれてなお、威風堂々凛として富貴に輝くこと、まこと白百合の如し。
 愚かな村娘を幻惑し誘い込み、手練手管の限りを尽くして手籠にし、見事懐妊させた。
 これが、徹底した恐怖政治で国土統一を果たした“白い手の残虐王”の出自である。

(2008年10月 アトリエ超短編投稿作)

■■■■■■■■■■

 先日の超短編イベントに投稿した『手首』テーマのもう一作の掌編です。

 題名が既にヤな感じで間違っているのは確信犯です。(笑)
 過剰に言葉を使いたかったのですが、語彙のバリエーションがイマイチ。実は酔っ払って書いたのですが、わりと気に入っています。

 先日、尊敬する方から拙作に
『下町バロック』
との称号を賜りました。

 成る程、目指す方向性がぼんやりと見えた気がします。
 人間、氏素性は隠せないものです。私、生まれも育ちも現住所も東京下町です。

 怪談に限らず、不思議で懐かしくて肩が凝らず、小綺麗で気軽に愉しめる作品を書きたいと思います。

 これからも、何卒よしなに。

三百字小説『燃え尽きた空』

「ふふふふふ、止められませんよ!」
 痩せた青年は不敵な笑みを浮かべると右手を高くあげた。
 雲一つなく青々と晴れ渡った真冬の空の下、摩天楼の屋上に突き刺さった影法師。
 その細く白い指先からメラメラと焔が吹きあがり、青空に燃えうつり、ゴウゴウと音をたてて見る間に燃え拡がった。
 紺碧の空を紅蓮の舌が舐め尽くし、深紅に染め上げてやがて消し炭にかえた。焼け落ちた後も無数の埋火達がチカチカと鈍く光っている。
 ひらひらと焔が降ってきたので踵で踏み消すと周りの焦げた青空だった。
 フッ、と銃口にするように人差し指に息を吹きかけて青年は下界へと身を踊らせた。
 私が空の燃え差しを拾うと中から烏が飛び立ち、指先が煤まみれになった。

 (『遊歩人』平成二十一年一月号掲載)

■■■■■■■■■■

 本日、実家からマンションに戻ったら、郵便受けにオンデマンド雑誌『遊歩人』が届いてました。

 先月、久しぶりに応募した掌編二編のうち一編を採用して戴きました。やたーっ! 千円分の図書券のお年玉、メチャ嬉しいです。
 これも、超短編イベントで「末吉」をひいた御利益かしらん♪

 上の話は山下画伯の手首のトロフィーのイメージで書いた三百字小説『着火男』に加筆修正したものです。

 捧げますと言っておきながら、セコく応募しててすみません。根が貧乏性なもんで……。>山下画伯

 文章の報酬で本を買うというのは、私の密かな夢だったりします。
『てのひら怪談2』と『遊歩人』に夢を叶えて戴きました。本当に有難いことです。

 さて、選評は

「どこかで観たハリウッド映画のワンシーンを思い出させる暗黒のヴィジョン。―まさに言葉のSFX。黙示録的な凄味を感じさせる作品である」

 ギクッ!! ハリウッド映画『ダークナイト』を観た直後に書いたのがバレバレかしら? 至極単純な人間なんです?。

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。