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掌篇★ガチャポン

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【48】.『中二階の雨』

 ざわざわざわ

 雨音にそっくりな音をたててお蚕さんが桑を食む。

 私は朝晩二回、背負い籠一杯に桑の葉を摘む。空気がこもってムッとする中二階で、お蚕さん達が私を待っている。棚段から大きな笊を順に引き出してお蚕さんの上にふわりと桑の葉を撒いていく。

 奉公に来たばかりの頃は、大人の指ほどの大きさでむくむくと白く太ったお蚕さんが気味悪かった。
 それが毎日世話を続けるうちに次第に可愛く見えてきた、おとなしく葉を食む幼虫の躯は数日先には飴色に透き通り、やがて繭を作る。

 背中に斑の無い真っ白なお盲(めくら)さんを掌に乗せて話し掛ける。

「お嫁に来ないかって言われたんよ、あんたのべべを貰うていい?」

 蚕の雨が止んだら、私は白い絹を纏う。

  (『遊歩人』掲載作を一部改稿)
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